本研究は低温焼成磁器の普及促進と天草未利用陶石の活用のための技術開発を目的としたもので、本年度は未利用低火度陶石の配合割合を増やした素地とそれに適合する釉薬を開発した。また、陶石精製の洗鉱残渣と粉砕粉を有効利用することにより土もの風磁器を1200℃の本焼きで得ることができた。
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釉調合の初心者でも簡便にゼーゲル式を用いた正確な調合計算ができる釉調合アプリケーションを開発した。アプリケーションで利用したAPPENの式による線熱膨張係数の実測値との適合性について検討し、肥前地区で用いられる一般的な透明釉の範囲であれば精度良く計算できることを確認した。
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泉山陶石の調査
泉山陶石を陶磁器原料として有効に利用するため、採石可能な陶石の物性調査を実施した。X線回折や化学分析により泉山石場は採掘場所により陶石の性状に違いがあることが分かった。泉山陶石の利用には陶石の分別や配合が必要であることがわかった。
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泉山陶土を主原料としたロクロ成形用陶土の開発
泉山陶石から調製された陶土(泉山陶土)を主原料とし、粘土原料および珪石原料を配合してロクロ成形用陶土の開発を試みた。粘土原料および珪石原料を配合したロクロ成形用陶土について焼成性状や成形性などの物性を検討した。その結果、現在使用されている天草陶土と同等な焼成性状や成形性などの物性を有する陶土を開発することができた。
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既存の食器生産工程を考慮し、産地製品の多様化に資することを目的とした食器外の製品展開を図るため、インテリア雑貨、ギフト、ノベルティ関連のカテゴリーの中で製品開発を行った。主なステーショナリー製品とは、筆記用具と用紙(ノート、便箋、手帳)であるが、この市場に向けた製品展開を行うことで新たな市場の開拓を図る。
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本研究はデジタル技術による陶磁器デザインの可能性を広げるため、複雑な形状データをメッシュ構造により製作する技術を研究するものである。本年度は、焼成変形予測時のメッシュ最適化と、人体等の形状を簡便に制作する技法について研究した。
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本研究は、業務用食器から家庭用食器への転換の一助となるよう、家庭で使いやすい食器の試作開発と機能性裏付けとなる評価基準の提案を目的としている。一般的なキッチンユニットについて情報収集を行って諸条件を検討し、初期試作を行った。欧州規格の耐熱衝撃試験において日本で行われている評価法との違いが明らかになり、安全評価のための準備が整った。
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住環境における磁器素材の多様化を図るために、新たな加工技術:ウォータジェットマシニングセンターの活用により、新製品開発に係る開発コスト低減を図った。焼結後に素材加工を行うことで、製造上のリスクや開発に係る型のコストを圧縮することができるほか、これまであきらめていた焼成による歪を相殺することが可能となった。
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固体酸化物型燃料電池(SOFC)における発電効率の向上を目指して電解質を支持体(基板)とした電池セルの燃料極厚膜設計を検討した。多孔質の電極層における燃料ガスの均一拡散を図るためにガス流路としての空洞層を厚膜内に形成させる方法を幾つか試みた。厚膜作成として樹脂系メッシュあるいは乾式フィルムを用いた成形方法や転写紙の積層印刷による流路形成の可能性を検討した。異なるパターンを積層する転写印刷において3次元構造の流路形成を試み、厚膜断面観察において5~10μm厚みで数10μmの幅となる空洞層を確認することができた。
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(共同研究者:九州大学大学院工学研究院 白鳥祐介)
バイオガスを燃料に用いる平板型燃料電池単セルの開発を目指し、試作を行った。NiO-YSZアノードシートを押出成形し、成形直後に刻印することにより、溝を刻んだシートを成形した。YSZ電解質を印刷する前の仮焼温度について検討を行い、仮焼温度が1050℃のとき電解質表面の欠陥が最も少ないハーフセルを得た。しかしながら燃料電池作動温度におけるハーフセル温度分布の計測では、模擬バイオガス使用時に温度が上昇する現象が見られ、表面に残存する気孔から燃料ガスが電解質側に漏れている可能性が示唆された。
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光触媒による生物化学剤除染法の開発(一ノ瀬・釘島)
(共同研究者:警察庁科学警察研究所 大森毅、金森美江子、柘浩一郎、大沢勇久、佐藤貴史、瀬戸康雄、産業技術総合研究所つくばセンター 平川力、佐野泰三、根岸信彰、竹内浩士)
急速昇温水熱を内径2mmの反応管で行い、アナタースの超微粒子化とその光触媒活性の向上を図った。まず、不純物濃度をコントロールしたペルオキソチタン液を封入した反応管を100~180℃に加熱したオイルバスへの投入し急速昇温水熱を行った。処理温度が高いほどアナタース結晶の超微粒子化が起こり、180℃で4min加熱した場合はマイクロ波による急速昇温水熱と同じように平均結晶子径約8.5nmのほぼ等方的超微粒子が得られた。次に、185℃のオイルバスに浸漬した反応管中を滞留時間0.6~3.7minで圧力を印加しながら送液することにより連続的な急速昇温水熱を試みた。その結果、圧力2.3MPaで等方的アナタース超微粒子の分散液が生成し、滞留時間1.2~3.7minは180℃でマイクロ波水熱して得られるものと同等以上の高い光触媒活性を得ることに成功した。色素増感型太陽電池の発電効率向上と製造方法に関する研究(釘島・一ノ瀬)
(共同研究者:長崎大学大学院工学研究科 兵頭健生)
TiO2光触媒材料の応用展開として、次世代太陽電池として期待されている色素増感型太陽電池を作製し、電池性能を評価した。本年度は、太陽電池セルのTiO2電極膜の作製条件について検討し、電池性能の向上を目指した。検討の結果、TiO2ペースト調製時のバインダーや成膜方法を適正化することで比較的良好なTiO2電極膜の作製が可能となり、電池性能の向上が見られた。さらに、バッファー層としてTiO2透明薄膜を組み合わせたセルにおいて、最も高い変換効率η=6.02%が得られた。また、実環境での利用を想定した電極面積7.36cm2(0.8cm×9.2cm)の太陽電池セルを試作した。本研究は都市鉱山に含まれるレアメタルなどの有用金属を回収する吸着剤開発を目的としている。カリックスアレーンの吸着性能向上のため、含浸させる基材としてシリカ系無機材料などを検討してきた。作業性改善のためシリカ微粒子SF-16Cの顆粒体を成形し900℃、1000℃、1100℃で焼成した。カリックスアレーンを各顆粒体に含浸した吸着剤は、微粒子の同吸着剤と比べて大幅な吸着性能の低下がないことが分かった。また基礎データとして、SF-16C微粒子の含浸体は高い吸着容量を持ち、テトラ酢酸型t-オクチルカリックスアレーンはInを選択的に吸着すること、アロフェンP-1は基材単独でGa吸着に高い選択性をもつことがわかった。
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(放射線利用・原子力基盤技術試験研究推進交付金)
銅は陶磁器釉や上絵等の発色材として幅広く利用されている。その中で銅釉は、銅化合物の添加量や基礎釉の組成、焼成条件等の変化によって、赤、緑、青等の様々な色を発色する。銅釉発色の制御は主に経験に基づく製造技術によって行われているが、この中でも銅釉の一種である辰砂釉といわれる銅赤釉の発色制御は特に難しい。本研究ではこの赤色発色する銅釉について、シンクロトロン光を利用した分析等により釉中の銅の状態変化を調査し、発色メカニズムの解明を試みた。その結果、XAFS測定結果等から結晶性が悪い(おそらくは1nm以下の非常にサイズが小さい)金属銅が銅赤発色に影響を及ぼしている事がわかった。
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TiO2とBa(OH)2を原料として半連続式マイクロ波加熱反応により、ナノサイズの立方晶BaTiO3の合成を90℃で試みた。30-50nmの微粒子が90℃-5分の反応で合成でき、15分では原料のTiO2がBaTiO3へほぼ100%転換された。90℃-5分のマイクロ波加熱反応中に消費した電気的エネルギーは118kJであり、乾燥機による外部加熱方式の場合(90℃-5分)に比べて約1/7であった。マイクロ波を加熱源として活用することにより省エネルギー的にナノサイズのBaTiO3を合成できることがわかった。
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有田では酸化鉄や水酸化鉄などの鉄化合物を陶磁器の加飾(青磁、天目、鉄絵、赤絵等)に活用する基礎技術が17世紀半ばまでに完成している。初期有田青磁は中国や韓国の官窯青磁、高麗青磁の影響を受けて1620年前後に完成しているが詳細は明らかではない。本調査研究では初期有田青磁の釉薬と素地の科学的特長を調べ、当時の青磁製造技術の推察と高麗青磁との比較検証を行った。
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佐賀県は県内産品の中国市場戦略を進めているが、陶磁器産業も国内市場が低迷する中、海外進出の機運が高まりつつあり、これを技術的な面から支援するため、陶磁器産業の動向を調べた。中国市場への参入は難しいものがあるが、高級陶磁器は市場獲得の機会があり、材料や製造技術を高める取り組みが必要である。
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ヨーロッパにおける先進的陶磁器デザイン技術の習得
佐賀県庁経営支援本部人材育成・風土組織グループで募集された短期海外派遣研修の機会を頂き、平成24年2月10日から25日までの16日間で、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランドの4ヶ国で研修を行ったので、報告する。
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