平成22年度 研究報告

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県単独研究

外部資金研究

支援事業

研究テーマの詳細

県単独研究

低温焼成磁器の製品化技術の研究/H21-23(寺﨑・堤)

本研究は低温焼成磁器の普及推進のための技術開発を目的としたもので、本年度は素地の焼成変形を少なくするための焼腰向上素地の改良試験と土物風合い磁器の調合試験を行った。1200℃の本焼きでは目標とする焼腰の強い磁器と土物風合いの磁器が得られた。
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高品質無鉛鉄赤上絵具の開発/H21-22(吉田・白石)

Al2O3を添加した高品質のナノサイズ紅柄(Fe2O3)を水熱合成法により合成し、低融点の無鉛フリットに配合して高品質無鉛鉄赤上絵具を試作した。また、Al2O3未添加の水熱合成ナノサイズ紅柄(Fe2O3)を用いフリット組成を変化させた高品質無鉛鉄赤上絵具を試作した。それらの試作した無鉛鉄赤上絵具について色差や光沢度などの光学的性質を測定し評価を行った。さらに、耐酸性や洗浄抵抗性などの化学耐久性も評価を行った。その結果、試作した無鉛鉄赤上絵具の中で2種の無鉛鉄赤上絵具が光学的性質、耐酸性および洗浄抵抗性おいて優れていることがわかった。また、760~860℃の範囲で安定した発色性(色差)を示すことが分かった。
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陶磁器の洗浄性向上に関する研究(新規・県単)/H20-22(桑田)

食洗機による洗浄耐久試験

本研究は、陶磁器の洗浄性を向上させることを目的に実施した。本年度は、撥水コーティングのうちフッ素樹脂を用いる技術について試作品にて耐久試験を実施し、撥水コーティング剤等についても検討を行った。前年度、陶磁器表面に凹凸を加え、さらに撥水性を付加することで洗浄性を向上させる技術の特許を出願している。食器を製造している県内企業に対し、その技術を用いた新しい商品開発のための技術指導を行った。また、洗浄耐久性試験において業務用食器洗浄機で500回の耐久性があることが確認できた。
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釉薬原料の枯渇に対する代替手段および釉調合システムの開発/H22-23(蒲地)

鉱山の閉山等により釉薬原料が失われた場合においても、代替原料を用いて同様の性状の釉薬調合を算出するために”調合割合からゼーゲル式”及び”ゼーゲル式から調合割合”の計算が簡便にできるソフトウェアの開発を行った。当センターに寄せられる相談、あるいは有田窯業大学校における授業の経験を生かし、計算の高精度化、特定原料の調合量を指定した計算、ゼーゲル式設定可能範囲の視覚化等、釉薬調合の現場で必要な機能を実現した。
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メタボリック・シンドローム予防食器の開発/H21-22(副島・松本・寺﨑)

近年、国の指針を受けて佐賀県でも健康プランが改定されるなど、健康づくりのための意識が高まっている。生活習慣病の原因のひとつとなるメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・改善のためには、不適切な生活習慣や食習慣を改善し、内臓脂肪を減らすことが必要であることから、食生活改善の助けとなる食器製品の開発を行った。本年度は、昨年度デザイン開発を行った製品の求評活動とアイテムの見直し・追加を行った。
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ステーショナリー関連製品の開発/H21-23(江口・関戸)

既存の食器生産工程を考慮し、産地製品の多様化に資することを目的とした食器外の製品展開を図るため、インテリア雑貨、ギフト、ノベルティ関連のカテゴリーの中で製品開発を行った。主なステーショナリー製品とは、筆記用具と用紙(ノート、便箋、手帳)であるが、この市場に向けた製品展開を行うことで新たな市場の開拓を図る。
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陶磁器デザインにおけるデジタルメッシュデータの有効利用に関する研究/H22-24(副島)

本研究はデジタル技術による陶磁器デザインの可能性を広げるため、形状をメッシュ(網目構造)で表現する技術により、複雑な形状データを製作する技術を研究する。本年度は、画像処理技術により形状表面にレリーフを施す技術について研究した。
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エクステリア照明具の開発/H21-22(江口・関戸・松本)

磁器素材はその特徴から屋内外を問わず、他の素材にない優位性を兼ね備えており、特に屋外においては「さびない」、「よごれにくい」、「くさらない」などの機能性についてエクステリア業界から注目されている。このデザインの多様化に伴う、生産手段として、鋳込み成形、圧力鋳込み成形を生かした商品の開発を行った。また据置、壁掛、ペンダントなど様々なシーンに対応するアイテムをCADにより設計し、「有田エクステリア研究会」の支援を得ながら、求評活動を行った。
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新エネルギー産業に対応した積層印刷技術の開発/H22-24(川原)

固体酸化物型燃料電池(SOFC)における発電効率の向上を目的として電解質を支持体(基板)とした燃料極厚膜の構造設計を検討した。燃料ガスが多孔質電極内部を効率よく拡散透過するように電極膜内部に意図的にガス流路を構築することを提案し、この厚膜をスクリーン印刷で製作した。導電性材料のペースト調製においては混合助剤の種類や配合比などを検討し、今回の積層印刷に適した調製条件を見出した。またガス流路となる単純なパターンを設計し、造孔材を用いた中間層を積層印刷後、焼失させることで電極厚膜のパターン領域に2~3μm厚の空洞層を形成することができた。
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バイオガス用燃料電池材料の成形技術の開発/H22-24(古田)

(共同研究者:九州大学大学院工学研究院 白鳥祐介)

バイオガスを燃料に用いる平板型燃料電池単セルの開発を目指し、試作を行った。NiO-YSZアノードシートを押出成形し、成形直後に刻印することにより、溝を刻んだシートを成形した。YSZ電解質を印刷する前の仮焼温度について検討を行い、仮焼温度が1050℃のとき電解質表面の欠陥が最も少ないハーフセルを得た。しかしながら燃料電池作動温度におけるハーフセル温度分布の計測では、模擬バイオガス使用時に温度が上昇する現象が見られ、表面に残存する気孔から燃料ガスが電解質側に漏れている可能性が示唆された。
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環境エネルギー用高効率光触媒製造技術の開発/H21-23(釘島・一ノ瀬)

(共同研究者:長崎大学工学部材料工学科 兵頭健生)

マイクロ波急速昇温水熱法により合成したTiO2微粒子を電極材料として用いて、次世代の低コスト太陽電池として期待されている色素増感型太陽電池セルを作製して電池特性を評価した。疑似太陽光照射下における電流密度-電圧特性を測定した結果、マイクロ波急速昇温水熱法で合成したTiO2は従来水熱法と比較して優れた電池特性を示し、市販高活性TiO2粉体P25と同等の変換効率(約4%)を示すことがわかった。
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有用金属回収を目的とした新規吸着剤の開発/H22-24(志波)

本研究は都市鉱山に含まれるレアメタルなどの有用金属を高効率に回収する吸着剤開発を目的とする。金属イオンを吸着する化合物としてカリックスアレーンが知られている。しかし、カリックスアレーンは有用金属を回収する吸着剤として特定の金属イオンに選択性を示す一方で吸着容量やコスト面などでまだ実用的でない。よって有用金属の吸着性能を向上させるためにシリカ系無機材料にカリックスアレーンを含浸した吸着剤を用いて、金属イオンの吸着試験を行った。その結果、特にInにおいてシリカ微粒子SF-16Cを含浸した吸着剤は比較的高い吸着性能を示した。しかし、SF-16Cは数μmの微粒子であるため含浸工程や吸着試験の両方で作業性の悪さが今後の課題として残った。
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外部資金研究

有田焼の発色メカニズムの解明と新規発色性陶磁器の開発/H19-23(白石・吉田・寺﨑 ・勝木)

(放射線利用・原子力基盤技術試験研究推進交付金)

陶磁器の発色技術(釉薬や下絵具、上絵具の発色等)は主に経験を基に確立されてきたが、その発色機構を科学的に検証した例は少ない。本年度は、青色から赤色まで幅広い発色を示す銅系釉薬について、シンクロトロン光を利用した分析により銅の状態を解析し、銅系釉薬の発色メカニズムの解明を行なった。その結果、XRD測定やTEM観察、EDS分析から銅釉の発色変化(ピンクから赤)の原因は数nm~数十nmのCu微粒子が析出・凝集したことによるものであると考えられたが、一方でXAFS測定結果からは、XANESのプリエッジ形状がCuよりCu2Oに近くなっている結果が出ており、一部矛盾した結果になった。また、銅釉の発色がピンク色から赤色の違いがあってもXAFSの結果からは銅の大きな構造変化は起きていない事がわかった。
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支援事業

有田焼新幹線ミニチュアモデルN700系「さくら」製作/H22(副島・関戸・松本・寺崎・江口・勝木・森田)

有田焼における技術の高さについて広く認知を得るため、当センターが長年研究してきた陶磁器デジタルデザイン技術と従来の技術を融合させ、平成23年3月12日の九州新幹線全線開通を記念して、有田焼で新幹線のミニチュアモデルを製作した。
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