平成16年度 研究報告

目次

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陶磁器部技術開発担当

陶磁器部デザイン担当

ファインセラミックス部

研究テーマの詳細

陶磁器部技術開発担当

IH調理器対応型陶磁器製調理器具の開発(寺﨑・吉田)

IH調理器対応型陶磁器製調理器具用発熱膜の作製を銀製薄膜転写により試みた。その結果、比較的発熱効率が高く、均一に発熱するIH調理器対応型陶磁器製調理器具用銀製発熱膜を開発することができた。また、開発したIH調理器対応型陶磁器製調理器具用銀製発熱膜の水熱反応試験、食器洗浄抵抗性および熱衝撃試験などの物性評価を行った結果、実用可能であることが明らかとなった。
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高機能性釉薬の開発(堤)

商品としての付加価値向上を目的として陶磁器食器に抗菌性を与えるため銀系の抗菌剤を検討した。現在までに上絵焼成温度では抗菌性を有する上絵具を開発した。

産業廃棄物の環境低負荷型活用の研究(志波)

陶磁器製品廃棄物(セルベン)、使用済石こう型、天草陶土製造工程から排出される「ケイ」や原料を組み合わせて、使用エネルギーが磁器焼成より少ない水熱処理(オートクレーブ)法により固化体を作製して基礎データを収集した。セルベン60wt%、使用済み石こう型20wt%、消石灰20wt%の配合比で、細孔直径0.01μm程度の固化体が得られた。
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強化磁器製給食食器の高度化に関する研究(蒲地)

昨年度に続き強化磁器製品の衝撃強さ試験方法について検討を行った。種々のハンマーで測定を行った結果、測定される衝撃強さは打撃ハンマーの打面形状、ハンマーモーメントの影響を強く受けることが明らかとなり、同じハンマーを用いた試験でなければ衝撃強さ測定値の比較は困難であることが判った。また、試料の固定方法も測定される衝撃強さに大きな影響を与えることが明らかとなり、試料の固定は軽く行うことで安定した測定結果が得られることが判った。
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陶磁器部デザイン担当

新分野新製品の開発(藤・江口・川久保)

食器外製品の開発として、ガーデニンググッズではフェンス廻り製品、女性を対象とした製品としてキルトグッズの開発を行った。また、有田焼人形のブランド確立を目指し、節句人形の開発とこれらに関連し、子供用食器の開発を行った。
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伝産地・有田からのライフスタイルに即した生活提案型食器の開発(佐藤・藤・川久保)

本製品(デザイン)開発における伝統的工芸品指定産地という観点からの考察を目的に、伝統的工芸品産業に関する各種資料等から調査及び検討を行った。併せて加飾デザインの開発と試作を行った。また、大有田焼振興協同組合の陶磁器デザイン開発研究会平成16年度事業「店舗新企画に対する有田焼の新しい提案」、鳥栖保健所の「生活習慣病の予防・治療のためのトレーニング食器の開発」に対するデザイン開発及び試作等の支援を行った。
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CAD/CAM技術を利用した型製作の自動化(副島)

昨年度は圧力鋳込法のケース型をNC切削で直接製作する方法について研究したが、今年度はローラーマシン、排泥鋳込法の型製作、また各種製品への応用、技術移転のための講習会を行った。
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ファインセラミックス部

微構造制御光触媒材料の開発と応用(一ノ瀬)

アルカリ金属(Na、K、Li)含有のペルオキソチタン酸水溶液を作成し、アンモニウムイオン含有物との特性の相違を調べた。Na、K、Li含有のペルオキソチタン酸水溶液はそれぞれ480℃、480℃、300~370℃において、アルカリ金属と酸化チタンの反応に伴う重量減少と発熱反応が見られた。これらのアルカリ金属含有ペルオキソチタン酸水溶液を水熱処理することによってペルオキソ改質アナターゼゾルを作成した。不純物陰イオンとして塩素が含まれる場合はブルッカイト、硫酸イオンの場合はブルッカイトとルチル、不純物陰イオンがない場合はルチルがそれぞれ共存したアナターゼゾルを作成できることが判明した。とくにルチルの生成は、Na含有の場合に顕著であった。また、Na含有ペルオキソチタン酸を550℃で焼成、あるいは水熱処理した場合、酸化チタン結晶以外にチタン酸ナトリウムが生成した。
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電気化学的プロセスによる有害物除去システムの開発(勝木)

本研究では環境有害物質である悪臭ガスやNOx、ススなどを電気化学的に迅速に分解・除去する方法を基礎的に検討することを目的とする。 今年度はマイクロ波を吸収して自己発熱する酸化鉄系複合粉末をウレタンフォームに付着後、焼成してセラミックスフォームを作成した。 家庭用電子レンジ内で80、200、600Wのマイクロ波を照射して発熱特性を検討した。 またこのフォーム上にディーゼルエンジン排気ガスを付着させ、マイクロ波を照射して加熱除去効果を調べた。
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コーティングによるセラミックスの表面改質(桑田)

コーティング技術を応用し陶磁器表面の高機能化(汚れ防止、メタルマーク付着防止など)を行う際、製品の必要な部分のみにいかに均一に原料を塗布するかが重要なポイントの1つとなる。大企業の大量生産ラインであれば、大掛かりな機会を組み込んだ設備投資も可能かもしれないが多品種少量生産の県内の大部分の中小企業にはコスト面で折り合いがつかない場合が多い。そこで、設備投資を最小限に抑えかつ従来からなじみのある技法を取り入れることで県内の中小企業が抵抗なく利用することのできる転写技術を検討した。転写の技法は、現在の陶磁器製品の生産に用いられる上絵付け工程でなじみのある方法の1つである。そこで、本年度は、メタルマーク付着防止のコーティング膜を転写の技術を応用し作成することが可能かどうかの可能性を探った。
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廃石膏型の再利用技術に関する研究(古田)

廃石膏粉砕物を100~250℃で加熱し、結晶相の変化を調べた。200℃では20分で半水石膏化が完了したが、250℃ではさらに脱水が進み、無水石膏化した。廃石膏を200℃で加熱処理して調整した再生石膏と市販の半水石膏を用いて石膏硬化体を作成し、強度、気孔分布など基礎的特性を比較したところ、再生石膏から作成した石膏硬化体は市販石膏からの硬化体と比べ、気孔直径、気孔率が大きく、圧縮強度に劣った。また、湿式加熱処理による石膏の半水石膏化試験を行い、廃石膏粉砕物をNaCl水溶液中100℃で加熱処理することで、半水石膏に完全転化することが確認された。
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コロイド技術による新規発色材の開発(白石・納冨・勝木)

ナノメートルサイズの酸化物の超微粒子は新しい発色材(顔料、カラー印刷用インク)として期待されている。本研究では、様々な金属酸化物等の微粒子を作製し、今までにない発色の顔料開発を目的とした。昨年度は鉄、銅、マンガン、コバルトの各種酸化物微粒子を水熱合成により合成し、各微粒子の特性評価を行った。本年度は合成した酸化鉄の微粒子を用いて下絵付絵具用の顔料を作製する検討を行った。
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連続式マイクロ波水熱装置を用いた水酸アパタイトの合成と特性評価(古田)

中小企業産業技術研究開発(地域中小企業支援型研究開発)

マイクロ波加熱装置を用い、廃石膏を原料とした水酸アパタイトの合成において、調合条件及び加熱条件の違いによる、マイクロ波エネルギー効率、反応速度、生成物の特性変化等について調べ、マイクロ波加熱装置を工業生産に用いるための基礎的な考察を行った。マイクロ波加熱を用いることで、通常の水熱反応と比較して水酸アパタイトへの転化に要する時間は反応温度90℃において70分の1以下に短縮することが可能であった。反応温度が高いほどアパタイト化時間は短くなったが、100℃になると90℃以下と比べエネルギー消費量が極端に増大した。またpHをアルカリ側にシフトさせると、50℃、60℃といった比較的低温でもアパタイト化速度を増大させることができた。合成した水酸アパタイト粉末を用い、水溶液からの鉛及びカドミウムイオンの除去試験を行ったところ、鉛イオンに対して特に迅速な除去効果が見られたが、異なる条件で合成したサンプル間での除去速度の違いはあまり見られなかった。
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