平成24年度 研究報告

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県単独研究

外部資金研究

調査報告等

研究テーマの詳細

県単独研究

泉山陶石を活用した陶磁器製品製造プロセスの開発/H23-25(吉田・蒲地・寺﨑)

前年度開発した泉山陶土を主原料とした配合陶土を用い、鋳込み成形用泥漿の調製条件を解膠剤の種類、解膠剤の添加量および水分添加量について泥漿粘度を測定して最適な泥漿調製条件を検討した。その結果、良好な泥漿を調製するための解膠剤の種類、解膠剤の添加量及び水分添加量を決定することができた。また、圧力鋳込み成形方法により碗および皿を成形して成形性を検証した結果、通常通りに成形できることを確認した。
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積層印刷技術を利用した機能性陶磁器の研究/H24-26(堤・川原)

釉薬による高機能化や意匠性の向上を目的として、転写印刷技術を活用した素焼き素地に貼付できる釉薬シートの作製を提案した。今回はシートの柔軟性や素地との接着性などの観点からシート素材を検討し、水性の素材を用いて素焼き素地に貼付できる釉薬シートを作製できる可能性があることを確認した。
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新規上絵着色材の開発/H24-26(白石)

ナノサイズ銀微粒子を用いた黄色無鉛上絵は、伝統的なきび色発色に近く、透明性が高いという特徴を持っているが、これに酸化銅等の着色材を添加すると消色してしまうという発色安定性での課題を残している。この銀黄無鉛上絵の発色安定性が向上すれば、青色発色の銅無鉛上絵と混合し、伝統的な有鉛上絵発色の一つである“もよぎ”色の無鉛上絵の開発が可能になると考えられ、このためには銀黄上絵の退色機構を調べ、発色の安定化を図る必要がある。本年度の研究ではシンクロトロン光分析等を利用しこの銀上絵の退色機構の解明を目的とした。その結果、XAFS測定等の結果から銅の添加によって上絵ガラス中の金属銀微粒子が消失している事がわかった。
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陶磁器デザインにおけるデジタルメッシュデータの有効利用に関する研究/H22-24(副島)

本研究はデジタル技術による陶磁器デザインの可能性を広げるため、複雑な形状データをメッシュ構造により製作する技術を研究するものである。本年度は、より高度なメッシュデータの有効利用法について研究し、原型モデルをデジタイザで測定して得たデータから型データを生成して磁器製品を作り上げる一連のプロセスについて成果が得られた。このプロセスにより、博物館収蔵品のレプリカ制作、磁器製キャラクターフィギュアの制作を実現した。
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『家族回帰』の時代に対応した高機能家庭用食器の開発/H23-25(松本・佐藤・蒲地・副島)

本研究は、業務用食器から家庭用食器への転換の一助となるよう、家庭で使いやすい食器の試作開発と機能性裏付けとなる評価基準の提案を目的としている。情報収集等の成果を基に、現在の家庭の食事において使いやすい器のサイズ検討、デザイン検討を行った。また加熱特性を可視化する方法について検討した。
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住環境に即した新製品の開発/H23-25(江口・関戸)

住環境における磁器素材の多様化を図るためにLED基盤、鋼管等異素材との組み合わせ、ユニット化を行い外構壁面向けエクステリア磁器製品の展開を試みた。また、有田エクステリア研究会において照明具等商材開発を行い、有田焼インテリア・エクステリア製品のアイテム拡充に取り組み、展示会により食器外陶磁器製品のPRと求評を行った。
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新エネルギー産業に対応した積層印刷技術の開発/H22-24(川原)

固体酸化物型燃料電池(SOFC)における発電効率の向上を目指して電解質を支持体(基板)とした電池セルの燃料極厚膜設計を検討した。スクリーン印刷におけるペースト調製条件やその原料となる有機助剤の熱重量特性が焼成後の積層厚膜の組織構造に大きな影響を及ぼすことが分かった。ガス流路パターンを形成した層を含む各種4層を積層印刷し、焼成後に得られた電極厚膜は約15μmの均一な厚みであり、その厚膜断面には厚みが約2μm前後の空孔層が膜と平行に形成されていることを確認することができた。
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バイオガス用燃料電池材料の成形技術の開発/H22-24(古田)

(共同研究者:九州大学大学院工学研究院 白鳥祐介、高田将)

押出成形で作製したNiO-YSZアノードシートに活性層及びYSZ電解質層をスクリーン印刷で積層し、緻密な電解質膜を有するハーフセルを作製した。成形後の生シートに小型彫刻機でガス流路を形成させたハーフセルを試作し、温度分布の評価を行ったところ、温度分布が緩和される傾向が確認された。セルの電流電圧特性では、流路付セルの方が高い開回路電圧が得られたが、発電時の電圧低下は大きくなった。
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太陽電池電極と光触媒用酸化チタンの開発/H22-24(釘島・一ノ瀬)

(共同研究者:長崎大学大学院工学研究科 兵頭健生)

光触媒用TiO2材料を利用して色素増感太陽電池を作製し、電池性能を評価した。本年度は、低温(150℃以下)での製膜が可能なTiO2電極膜の作製方法について検討し、電池性能の向上を試みた。その結果、TiO2粉末にバインダーとしてTiO2ゾルやPTAを混合してペーストを調製し、スキージ法により成膜を行うことで、比較的良好なTiO2電極膜の作製が可能であった。さらに、電池性能を評価したところ、PTA を用いた場合に電池性能が向上する傾向が見られ、変換効率η=4.3%を示した。
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有用金属回収を目的とした新規吸着剤の開発/H22-24(志波)

本研究は都市鉱山に含まれるレアメタルなどの有用金属を回収する吸着剤開発を目的としている。カリックスアレーンを含浸させたシリカ微粒子SF-16C1050℃顆粒体は、従来から研究されているイオン交換樹脂より吸着時間が短縮できた。またカラムクロマト試験によりIn、Gaを高濃度Zn液中から分離・濃縮できることが明らかとなった。さらにカリックスアレーンを含浸させないアロフェンP-1を吸着剤として、組み合わせればInとGaの混合液からGaのみ回収できるシステムが構築できる可能性を見いだせた。
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外部資金研究

シンクロトロン光分析による上絵発色機構の解明/H24-26(白石・釘島・堤・川原)

(地域課題解決支援事業)

陶磁器上絵は主に有鉛上絵具が用いられてきが、徐々に無鉛上絵具の普及が進んできた。しかし、無鉛上絵では従来の伝統的な有鉛上絵の発色の再現が難しいものもあり、これが無鉛上絵の普及を遅らせている原因の一つと考えられる。本研究では、着色材(酸化金属等)を添加した際の有鉛上絵と無鉛上絵の発色機構の違いを明らかにすることを目的とした。XAFS測定結果から、鉄、マンガン上絵試料において鉛の有無でXAFS波形の違いがみられ、マンガン紫、鉄黄の発色において鉛が非常に重要な役割をしていると考えられるが、銅上絵試料においては有鉛と無鉛のXAFS波形の形状、周期の大きな違いが見られないため、銅緑発色において鉛は大きな役割を担ってないと予想される。
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石膏型圧力鋳込みによる複雑形状セラミックス成形の実現/H23-25(蒲地・副島)

(平成23年度 JST公募研究ー研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム)

本研究では、複数の鋳込口を利用しながらもスラリーの流路を自己判断機能を持った弁機能により制御し合流線のない成形体を得ることができる新しい圧力鋳込成形技術の確立を目指した。実験計画法により圧力鋳込み制御因子の成形体に与える影響を確認すると同時に本技術の有効性について確認した。さらに、弁機構の改良による耐久性の向上や作業性の改善を行った。結果、複数の鋳込み口を用いながらスラリーの合流線のない緻密な成形体を得ることに成功し、本技術を実用化可能なレベルまで高めることが出来た。本技術により、従来技術では成形不可能であった複雑形状の成形体でも充填不足や合流線が発生することなく安価に成形することが可能となった。
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調査報告等

メスバウアー分光による青磁釉中の鉄のイオン分析/H24(勝木・白石)

(共同研究者:韓国窯業技術院 Jae-Hwan Pee、Woo-Seok Cho)

還元濃度が異なる雰囲気で焼成された有田青磁の釉中の鉄イオン状態をメスバウアー分光分析により調べ、Fe2+/Fe3+比と釉の色彩との関係を検討した。青磁釉薬はBa系基礎釉薬にFe2O3粉末を添加して作製した。1300℃で30分間種々の還元雰囲気で焼成した。COガス濃度が0、1、4%の場合のFe2+/Fe3+比はそれぞれ0.15、3.21、4.75 であり、釉の色は暗黄色から薄い青緑へと変化することがわかった。
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