平成25年度 研究報告

目次

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県単独研究

外部資金研究

調査報告、支援事業等

研究テーマの詳細

県単独研究

焼成工程が製品の精度へ与える影響を完全に排除した磁器の開発

1230~1370℃の間で磁器化し焼成変形量が変化しない特殊な焼結特性を持つ磁器について焼結過程を詳細に調査した。この磁器では焼結の早い段階で強固な骨材の構造が形成され、昇温が進行しても骨材の構造が保たれることで焼成変形に対して著しい抵抗性を示すことが確認できた。また昇温によってもガラス相がほとんど増加しないことも確認され従来の磁器とは全く異なる焼結機構を持った磁器であることが判った。
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セラミックス粒子を配向制御したヒートシンク材料の開発

放熱部材における高熱伝導率の向上を目指し、樹脂材料に熱伝導率が高いセラミックスフィラーを混合した有機無機複合材料を作成した。セラミックス粒子の配向制御を目的としてディスペンサーによる新しいシート成形法を提案し、ペーストの粘性や吐出条件、塗布プログラムなどを調整して20mm角の試作シートを作成した。フィラーとして混合したh-BN粒子をシート全体に配向させることはできなかったが、X線回折によるシート内部の配向度評価では面外方向への粒子配向が確認された。このことから、本成形方法は粒子配向のシート成形法として有効であることが分かった。
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住環境に即した新製品の開発

有田エクステリア研究会では「チェルシーフラワーショー(英国)」出展プロジェクト「Team SAGA」を発足させ、足掛かりとして「ガーデニング・ワールドカップ・フラワーショー(ハウステンボス)」へ出展し、金賞および部門賞受賞を経て、事前審査により「チェルシーフラワーショー(英国)」への出場権を獲得した。研究会でのガーデニングショー出展に際し、本研究では、試作開発、製品開発支援を行った。
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『家族回帰』の時代に対応した高機能家庭用食器の開発

本研究は、業務用食器から家庭用食器への転換の一助となるよう、家庭において使いやすい食器製品の試作開発とその機能向上を目的に研究を進めてきた。これまでに行ってきた情報収集の結果や機能性の検討を踏まえて、今年度は具体的な製品試作開発を行った。
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泉山陶石を活用した陶磁器製品製造プロセスの開発

泉山陶石から調製された陶土(泉山陶土)を主原料とし、粘土原料および珪石原料を配合して大型製品や生素地において変形などを加える製品のためのロクロ成形細工用陶土の開発を試みた。そのロクロ成形細工用陶土について焼成性状や成形性などの物性を検討した。その結果、大型製品や生素地において変形などを加える製品の成形が可能で天草陶土と同等な焼成性状などの物性を有する陶土を開発することができた。
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天草酸処理陶土の残留イオンの制御に関する研究

磁器原料である天草陶石の安定供給を図るため、低火度酸処理陶石の利用が課題となっている。酸処理に使われる塩酸は、鉄成分の除去を目的にするが、残留する塩酸があると、成型等悪影響がおこる。このため、酸処理陶石の水洗処理後、低火度酸処理陶土を作り、残留する塩酸の影響を調べ、溶出する塩素イオン量を測定したが、残留塩素イオンは認められなかった。低火度酸処理陶土の物性を調べ、ロクロ、鋳込み成形を行ったが、問題なく成形できた。焼成は1250℃で磁器化し、白色度においても天草撰上並みの白さが得られた。1300℃焼成においては、天草撰中陶土70%、低火度酸処理陶土30%の配合で磁器化し、白色度の向上が見られた。
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積層印刷技術を利用した機能性陶磁器の研究

釉薬による高機能化や意匠性の向上を目的として、転写印刷技術を活用して素焼き素地に貼付できる釉薬シートを作製した。熱膨張が異なる二種の釉薬を積層した釉の曲げ強度が単一の釉薬を積層した釉の曲げ強度を上回る結果が得られた。釉中応力の観察でも違いが確認されたが、これが異種の釉薬を積層した効果であるか否かは今後の検討を要する。
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新規上絵着色材の開発

従来の有鉛上絵「もよぎ」と同等の発色及び透明性を有する無鉛銅緑上絵の開発のために、無鉛フリットに添加する各種の銅化合物の検討を行った。その結果、発色材に金属銅を用いることで緑色発色の銅上絵を作製することができた。しかしながら、この銅緑上絵には小さな斑点が残り、これが原因で上絵の彩度も暗くなっていたため、この斑点対策を目的とした金属銅の添加量、粒径の検討を行った。金属銅の添加量、粒径の検討で斑点の抑制はできたものの、銅上絵が緑発色するためには、添加する金属銅の粒径等の一定の条件が必要であり、斑点の解消までは至らなかった。また、XAFS測定の結果から青、緑色発色試料共に上絵中の銅の明らかな状態変化は認められなかった。
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高純度ジルコニアセラミックスの微量不純物分析技術の研究

本研究は高純度ジルコニアセラミックスの精度よい微量不純物分析技術を確立するため、試料溶解法、溶液調製などについて検討する。本年度は実試料測定の前段階として、実試料溶液に模した溶液を調製しマトリックスが微量成分に及ぼす影響を調べた。ICP発光分光分析で測定した結果、元素の波長によってはマトリックスの影響による干渉を受け、慎重に波長選定を行うことが必要であった。またマトリックスの有無で各元素の検量線を作成したところ、すべての元素でマトリックス有の方が発光強度は20%程度低下することが分かった。
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太陽電池電極と光触媒用酸化チタンの開発

色素増感太陽電池の性能向上を目指し、光触媒用TiO2コーティング剤の技術を応用して、150℃以下での製膜が可能な材料と電極作製方法について検討した。本年度は、TiO2ゾルを用いてFTO透明電極とTiO2多孔質電極間にバッファー層としてTiO2薄膜を形成した光電極を作製し、電池性能評価を行った。また、TiO2多孔質電極膜内部におけるTiO2粒子間の接合性向上のため、多孔質電極膜をTiO2ゾルで修飾した電池セルを作製し、電池性能を評価した。
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バイオガス系メタン燃料直接改質燃料電池セルの開発

バイオガスを直接供給するSOFCのアノード内において、燃料ガス改質に伴う吸熱反応による温度勾配を解消するため、NiO-YSZアノードの燃料ガス通路側の表面に、ガス改質反応を制御するためのコーティングを試みた。種々のパターンでコーティングしたハーフセルを用いて800℃で模擬バイオガスを供給したときの温度分布の評価を行い、温度勾配の緩和に効果の高いコーティングのパターンを明らかにすることができた。
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外部資金研究

バイオガスSOFC 用燃料極の流路加工技術に関する研究

(平成24年度 JST公募研究ー研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP))

小型彫刻機を用いたバイオガス直接供給SOFCへの流路加工において、流路形成プロセスを最適化させるため、切削回数、被切削材の種類(生シート・仮焼シート・焼成シート)と工具の摩耗状況、焼成体の精度について評価を行った。生シートを切削した場合、ある一定枚数を超えると急激に工具の摩耗が進行し、切削面に負荷がかかって焼成時にセルの変形を誘発する要因となったが、仮焼シートを切削した場合には工具の摩耗が起こりにくく、焼成時のセルの変形量は小さくなった。
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粉末積層造形による陶磁器成形技術の研究

(平成25年度 JST公募研究ー研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP))

本研究は、有田焼等の磁器で使用される磁器原料の粉末により、素地成形を3Dプリンターで直接行うことを可能にする原料開発を行うものである。本年度評価した粉末では3Dプリント後の状態が非常に脆く、良好な解決策を見いだすに段階には至らなかった。噴射側のバインダーを変更する実験でも、研究機材のインクジェットノズルの詰まりを誘発する結果となった。総じて、当初の目標を達成する段階には至らなかった。成形が終了していれば、ほぼそのまま焼結することは確認できており、成形が可能となる材料開発を継続して行いたい。
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調査報告、支援事業等

有田焼精密模型(トヨタ2000GT)の製作

当センターは陶磁器のデザインから型製作に至るプロセスにコンピュータ技術を導入して高度化させる「陶磁器デジタルデザイン技術」を研究してきたが、その技術力を結集してPRするための試作品として、日本を代表する自動車「トヨタ2000GT」を制作した。成果品は、トヨタ自動車張富士夫名誉会長を通じて、トヨタ自動車本社に寄贈した。
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有田磁器の源流を求めて

堆積岩(砂石)から調製された唐津焼用陶土の特性

約400年前の有田磁器製造技術の源流についてはまだ十分に科学的に検証されていない。また、唐津焼から有田焼への変遷を原料の視点から検証する試みもこれまで十分に行われていない。古くから唐津焼用の陶土には砂岩や砂岩が風化した堆積粘土が利用されていると言われているが、本調査研究では唐津市、伊万里市、武雄市、有田町に広く分布している砂岩の中で、行合野砂岩、芳ノ谷砂岩、畑津砂岩を原料として粉砕ー水簸処理により製造されている現在の3種類の唐津焼用陶土の特性(化学組成、鉱物組成、粗粒子の形態、粒子サイズ分布、カオリン微粒子の形態)を検討した。主要鉱物は石英、カリ長石、カオリンであり、セリサイトはほとんど含まれていなかった。ノルム法による鉱物含有量は石英が38~48、カリ長石が26~37、カオリンが17~31mass%であった。どの原料にも粗粒子が多く含まれ、最大粒子サイズは160~260μmで、平均粒子サイズは24~29μmであった。
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