002 アプリをつくりました

002 アプリをつくりました

 今年(令和4年)度、有田焼の特徴である色の検索や絵付け体験を楽しめるアプリ開発に取り組みました。普段の研究業務とは一味違ったプロジェクトでしたので、その内容をご紹介したいと思います。(アプリは2023年4月1日リリース予定です。)

 

なぜアプリを開発?

 窯業技術センターとアプリ、あまり接点がないようにも思えますが、開発のきっかけは“チャンスと思いつき”でした。これまで取り組んできた研究では、この産地で使用されている上絵具の色を集め、それをカラーチャート一覧にしてデータベース化し、紙資料とデータ、それから実物のカラーサンプルを作成し、産地内の事業者の方々にご利用いただいています。今回、通常の研究費とは別にチャレンジ的な企画や事業に対して資金を得られるチャンスがあり、それに応募するための内容を検討していたところ「あ、あれ(カラーチャート)をアプリにしたらもっと使い勝手がよくなるのでは、、、!」と思いつきました。この産地で使用されている上絵具の一覧を、産地内の関係者にはもっと利便性高く利用してもらいたい、そして関係者だけでなく、一般の人にもその美しい色を知ってもらえたらいいのに、との思いがあったので、アプリならそれができるのではと考えました。そして企画書を準備して応募したところ採択となり、開発に取り組むことができました。

研究中につくったカラーサンプルの数々

 

アプリの使いどころ・楽しみどころ

 産地関係者の方には、色を効率的に探したり比較したり、ものづくりの中で便利にアプリを利用していただくことを目的としています。一般のユーザーの方には、まずはこの産地特有の華やかな絵具の色の数々を知り、楽しんでいただければと思います。陶磁器の絵具は焼成の工程を経るため、一般的なインクの色などと比較すると色幅も狭くなり、彩度の高い色は少ないのですが、言い換えれば深みや味わいがある、とても豊かな色が集まっています。

 さらに、絵具の色を知っていただいた上で、その色を使って、いわゆる“デジタル絵付け体験”ができる機能を設けました。カラーチャートの色を使ってお皿などにデザインが自由にできる、大人もこどもも楽しめる機能となっています。“絵付け体験”の中では、磁器の製造工程にならい、呉須(酸化コバルトを主原料とする青い色の絵具)を使った下絵付け(染め付け)のあと、本焼成(約1300℃)の工程を経て、上絵付けに進み、上絵焼成(約800℃)を経て作品が完成する、といった一連の有田焼の製造工程を体験できる流れになっています。焼き物ができるまでを楽しみながら学べますので、ぜひお子さんとも一緒にチャレンジしてみてください。

 

伝統文様の魅力も伝えたい

 このアプリでは、自分で絵を描くだけでなく、この産地の財産である歴史ある収蔵品の中から選んだ伝統文様を自由に配置して、器をデザインすることもできます。伝統文様は、佐賀県立九州陶磁文化館にご協力いただき、収蔵品を撮影し画像データを準備しました。定番の文様や個性のある絵柄など、400年前とは思えない魅力ある伝統のグラフィックデザインの数々ですので、気になった文様があれば、ぜひその実物を探しに、九州陶磁文化館を訪ねてみてください。(※すべてが展示されているわけではありませんのでご注意ください)伝統文様については、また別エピソードにてご紹介する予定です。

アプリに入っている伝統文様の一部 鳥にもいろんなデザインがあります

 

産地に遊びに来てください

 アプリを楽しみ、デジタル絵付け体験をしてイメージトレーニングができたら、実際に産地に足を運んでみませんか?産地内では、工場見学ができる窯元で職人の妙技に触れたり、絵付け体験ができる工房にて実際に絵付けにチャレンジ!という体験もできます。400年もの長きにわたり脈々と磁器のものづくりが続く有田焼産地にて、ぜひ体験・鑑賞・買い物など、いろいろな楽しみ方を見つけてくださいね。

(事業デザイン課 松本)

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