研究報告

平成14年度 研究報告

陶磁器部技術開発室

易熔化性磁器の開発研究(寺崎)
天草低火度陶石を利用した陶土により1160℃で磁器化する低温焼成素地を開発している。この素地に適合する釉薬の開発を行った。釉の溶融状態や外観は良好で、表面硬度や洗浄抵抗性も問題のない釉薬であった。ローラーマシン、圧力鋳込成形による試作では焼き上がりも良好で、絵具の発色も普通のものと変わりないものが得られた。
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釉薬及び釉薬表面の改質によるメタルマーク抵抗性の改善に関する研究(吉田)
釉薬の構成成分であるR2O成分(アルカリ成分)を1wt%から2wt%程度に抑え、SiO2成分を60wt%前後まで含有量を減少させて釉薬を調製すると、メタルマーク抵抗性が大きく改善する。このことに基づき、実用可能な釉薬の調製を試みた。
その結果、メタルマーク抵抗性を改善した高温焼成用、中温焼成用及び低温焼成用の釉薬を調製することができた。
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陶磁器廃棄物を活用した食器等の開発(堤)
大有田焼振興協同組合への事業支援として原料の半分以上に磁器製造工程から排出される廃棄物を利用した「エコポーセリン50」用陶土を開発した。圧力鋳込み成形が可能で、焼成品の白色度や曲げ強度等の諸物性は天草撰中陶土のそれと同水準であり、肥前地区で一般的に使用されている珪灰石釉等の石灰系の釉薬に適合する。この陶土で作った試作品を東京ドームで開催されたテーブルウェアフェスティバルで展示発表した。
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産業廃棄物を活用したリサイクル製品の開発(志波)
有田焼の製造工程から発生する太白屑、ハマ、素焼屑を合計21wt%使用して強化磁器用陶土を開発した。アルミナ、アルミナ系廃棄物などを使用し、様々な配合試験の結果、焼成素地の3点曲げ強度が200MPa以上の素地を開発できた。これは現行強化磁器焼成温度帯より低い温度での達成である。配合比(wt%) は太白屑:1、ハマ:15、素焼屑:5、益田長石:23、ニュージーランドカオリン:7、マレーシアカオリン:9、本山蛙目粘土(特級) :16、アルミナ(日本軽金属A-31) :24であった。
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一般磁器の耐熱性向上に関する研究(蒲地)
電子レンジによる磁器の加熱試験を行い温度上昇の様子を調査した結果、電子レンジ加熱により磁器は不均一に加熱されることが明らかになった。合成コーディエライトを調合した磁器素地の低熱膨張化試験では合成コーディエライトの添加により熱膨張は低下するものの耐熱性に関してはほとんど変化しないことが明らかとなった。また一般的な磁器の耐熱性に関する評価、コーディエライト磁器の試作などを行った。
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陶磁器部デザイン室

洋風食器の開発(久田松・納冨)
80年代から90年代に掛け大型景気とよばれ日常生活のすべての分野が豊かになり、感性や個性を求める動きが一層強まった。このころから肥前地区、特に有田の陶磁器製造は高級化志向へ進み生産量や生産額の著しい成長を見てきた。しかし、ここ数年製造業は色々の問題(需要の低迷、経営コスト増大、製品単価の低下、価格破壊、消費者ニーズの変化、新業態の台頭等) を抱え苦悩している現状にある。2000年に入っても生活スタイルは変化し続け高級化志向から多様化志向へ推移した。量から質へ、多品種少量生産への転換が叫ばれて久しいが、今後も陶磁器製造産地としては、磁器製品の商品価値を保ち つつ、この生活スタイルの変化に即した創造的商品開発が当然必要になっている。
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新分野新製品開発(川久保・藤)
現在、エコロジー等(自然回帰) の影響で、ガーデニングがブームであり、そのブームが、洋から和へと移行し、肥前地区の素材、技術が参入する絶好の機会である。今年度は、昨年試作したミニ盆栽鉢の多様化を行い、ミニミニ盆栽鉢、寄せ植え鉢及びガーデニング関連グッズとして噴水の試作を行っ た。また、エクステリア研究会、大有田焼振興協同組合を通し、当センターの試作品の商品化、企業独自の製品に対し商品化に向けての製造、デザイン等の技術支援を行い、展示会等の出展により市場調査、製品PR等販促活動が行われた。
また、ノベルティ関連事業として、カラクリ時計キャラクター人形の製作を行い、大有田焼振興協同組合、ハイテク有田焼人形委員会をとおし、商品化に向けての企画案を製作を行った。また、大有田振興協同組合デザイン研究会への陶器市100回記念品に対しての製造、デザイン支援を行った。
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CAD/CAMシステムを利用した陶磁器製品開発(副島)
積層造形装置を利用した原型製作技術の有効性を実証するため、エコポーセリン商品開発事業に協力した。完成予想モデル、原型を多数制作し、一部は実際に製品の原型として使用された。一連のシステムが製品開発の実務として利用できることを実証した。
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現在の食生活環境に対応した製品開発(システムキッチン・キッチン家電をテーマにした日常食器製品のデザイン開発)(佐藤)
景気の低迷を主な要因として、有田焼をはじめとする佐賀県陶磁器業界の製造品出荷額は依然として減少傾向にある。当該産地では、現在でも食器類及び美術品置物類が出荷額の大半を占めることから、主要製品である食器類の市場競争力を高めることが当面の重要な課題のひとつである。
しかし、陶磁器食器製品の市場環境も変化しており、従来の伝統的価値と共に、何らかのかたちで市場の動向に対応していく部分も必要になると考えられる。
そこで、食器に関する生活環境の現況及び動向を把握し、そこに向けたひとつの方向性としてのデザイン開発を行うことを目的とした。
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ファインセラミックス部

酸化チタンコーティング剤の改良と環境浄化への応用(一ノ瀬)
  1. 金属ドープペルオキソ改質アナターゼゾルの合成とその特性
    NbおよびV含有ペルオキソチタン酸水溶液を100℃で水熱反応させることにより水中に良好に分散したNbおよびVドープアナターゼ超微粒子を作成した。Nbをドープするとアナターゼの格子定数が増大し、添加量の増大に伴い紡錘状から短冊状、立方体状へと変化したが、光吸収スペクトルの変化はなかった。VをドープするとC軸の格子定数が減少し、結晶が微細化し、光波長350~700nmの範囲で吸光度が増大した。
  2. 酸化チタンコーティングシリカゲルの光触媒活性(実用化支援)
    光触媒水処理材料の実用化を目的として、ペルオキソ改質アナターゼゾルをコーティングしたシリカゲルを作成し、循環水系脱色試験によって光触媒分解性能を評価した。
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転写印刷法による集積型センサの製造技術に関する研究
(平成14年度 地域ものづくり対策事業 中小企業技術開発産学官連携促進事業)(川原)
NOxセンサとCOセンサを1枚に配置したガスセンサ用転写紙と温度センサ転写紙を作製した。併せて400℃以上に昇温可能なヒーターと電極を施した専用のセンサ基板を作製した。作製した転写紙を専用センサ基板上に転写印刷して各温度で焼き付けて集積型のセンサ素子を作製し、この素子を電子回路と組み合わせた一つの装置として完成させ、各センサがモニタリング可能なハイブリッドセンサ装置を試作した。この装置は1~800ppmのNOxを測定することが可能であり、燃焼排ガスのNOxセンサとして十分に使用できるセンサであった。また、普及事業としてこれらの研究成果に関するテキストを作成して関係機関に配布し、佐賀、三重、大阪にて成果普及発表会をそれぞれ開催し、その技術普及を行った。
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水酸アパタイトの応用化研究(古田)
数種類の水酸アパタイト粉末を用いてPb2+イオンおよびCd2+イオンの除去試験を行った。Pb2+イオンの場合、除去速度のpH依存性はあるものの、高い除去率と迅速な除去速度を示し、pH3~5の領域では、アパタイトの種類による実用上の差はないと認められた。一方Cd2+イオンの場合、pH5.04では約80~95%が除去されたのに対してpH3では約20%の低い除去率にとどまり、除去率のpH依存性が顕著であった。両イオンが共存する系でも、Pb2+イオンと比較してCd2+イオンの除去率は低く、特に低pH領域ほど除去率の差は大きかった。また廃石膏粉末とリン酸水素二アンモニウムからの水酸アパタイトの合成プロセスを改良し、水酸化カルシウムを併用することで、アパタイト化に要する時間を短縮するとともに、使用したリン酸塩の単位量あたりのアパタイトの収量を増加させることが可能となった。
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コーティングによるセラミックスの表面改質(桑田)
陶磁器製品に本来含有している元素のみで構成された撥水コーティング膜は、人体に対する安全性も高い。また、製品の役目を終えた後のリサイクルも容易で環境負荷も小さい。さらに、最近登場した家庭用自動食器洗い乾燥機に採用されている洗剤を必要としない環境に配慮した新しい洗浄法に応用することも可能である。しかしながら、そのような撥水コーティング膜は実用化されていないのが現状である。
そこで、本年度は、撥水の性質をもったコーティング膜を本来、陶磁器製品に含有している元素を用いて作成することが可能かどうかの可能性を探った。
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酸化物超微粒子の簡易プロセスによる合成(勝木)
濃度が0.02~0.1MのFe(NO3)3水溶液を2種類の方法により100~140℃で水熱処理し、α-Fe2O3微粒子の生成率、粒子サイズ、形態に及ぼす水熱処理温度、時間、溶液濃度の影響を検討した。 また、昨年度報告したFeCl3水溶液からα-Fe2O3微粒子合成の結果と比較した。さらに、Fe(NO33とFeCl3から合成したα-Fe2O3微粒子を無鉛フリットに添加して赤絵の具粉末を作成し、白磁板に800℃で焼付けて赤絵の発色状態を評価した。
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