研究報告

平成12年度 研究報告

陶磁器部技術開発室

超耐久性陶磁器成型用型材の研究開発 (中尾)
陶磁器業界において各種の成形方法が採用されているが、特に食器製造業は多品種少量生産が主流のため石膏は素地の成形用型材として重要な資材である。
近年、市場ニーズにより陶磁器の製造工程は多様化が進み、それに対応するため石膏の改質技術として各種樹脂系の添加や含浸等による強化方法が開発されている。しかし、基材が軟弱質のため決定的な対策にはならず、業界からは常時一定量の不用な石膏型が産業廃棄物化しており、本県においても年間に約3000t以上が排出されていると推定され、最終処分場を含め業界全体でも基本的な対策を講じる必要がある。
易熔化性磁器の研究開発(寺崎)
天草低火度陶石を配合した陶土により1200℃でも磁器化する易熔化性の磁器を開発した。高温での軟化変形や焼成収縮率は普通磁器と変わりなく、白色度も天草撰上陶土程度のものが得られている。素地の熱膨張係数も7.5×10-6と有田磁器程度である。易熔化性の陶土であるため、焼成温度だけでなく、焼成時間を短縮しても問題なかった。その結果、燃料の削減にして、38%の省エネルギーが達成できる。
釉薬及び釉薬表面の改質によるメタルマーク抵抗性の改善に関する研究(吉田)
有田焼に使用されている透明釉について、メタルマーク抵抗性と釉の硬度や化学組成との関係を検討した。その結果、硬度とメタルマーク抵抗性には関係はなく、釉表面の摩擦抵抗(引掻き抵抗)と大きく関係していることが明らかとなった。また、釉薬の化学組成において、唯一酸化亜鉛の含有量がメタルマーク抵抗性に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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代表的な粉砕機から調製された陶土の物性に関する研究(志波)
昨年度研究した実験室レベル乾式ボールミル粉砕のスケールアップテストを行うため、1~2ton処理できる大型ボールミルを用いて天草陶石を粉砕した。1ton処理できるボールミルと1.8ton処理できるボールミルとでは粉砕物の粒度分布はほとんど同じで粉砕効率は同程度であることが分かった。1.8ton処理できるボールミルで20h粉砕した練土の可塑性は実験室で作製した練土と同等の可塑性は得られたが、若干水分率を高くする必要があることが分かった。また手ろくろ成形における成形性は現行陶土と同等の触感であった。
ムライト質硬質磁器用陶土製品化技術の研究(蒲地)
一般の有田焼は天草陶石を原料にした素地で生産されており釉薬は主に石灰釉が用いられている。一方強化磁器など低熱膨張の素地に関してはタルク釉や石灰タルク釉が用いられてきた。しかしこれらの釉薬は石灰釉と比較して呉須の発色が変化するという問題があった。そこで原料粒度や塩基性成分の調整などにより、石灰釉の低熱膨張化を試みた。結果、現在利用されているタルク釉より低い熱膨張の釉薬が開発できた。

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陶磁器部デザイン室

新分野新製品の開発(川久保、藤、関戸)
現在、エコロジー等(自然回帰)の影響で、ガーデニングがブームであり、そのブームが洋から和へと移行し、肥前地区の素材、技術が参入する絶好の機会である。そこで、個人住宅向けにガーデニング・グッズの開発を行った。また、からくり人形、からくり時計製品の開発においての技術を用い、より汎用性のある動く有田焼人形等の開発に取り組んだ。 エクステリア研究会、大有田焼振興協同組合(集積ワーキング・グループ、デザイン研究会ノベルティ分科会)を通し、試作品の商品化及び企業独自の製品に対し、製造、デザイン等の支援を行い、展示会への出展等により販促活動を行った。
洋風食器の開発(川久保、藤)
現在、肥前地区の陶磁器産業は、低迷の一途をたどっている。主な製品は業務用和食器であるため、近年のリゾート関係・外食産業の不況のあおりを受けていることが大きな原因の一つだが、景気回復以前に、日本人の住空間、家族構成、食生活等の変化により、洋風食器(多用途)の使用頻度が高まり、それに対応した新しい生活スタイルに合った、洋風食器(多用途)の開発を目的とした。
福祉用陶磁器の研究(CAD/CAM技術を応用した福祉用食器の開発)(副島)
前年までの成果を基に、重ねやすさ・すくいやすさに配慮した障害者向けの食器をデザインし、紙積層造型装置を利用して原型製作を行った。
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陶磁器用型製作プロセスの自動化(地域産業集積活性化支援事業)(副島)
CAD/CAM技術を陶磁器用型製作に応用するため、積層造形システムを導入し、原型を製作するための一連のプロセスを確立した。また、一連の技術を普及させるため、ソフトウェア利用技術についての講習会を行った。
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加飾技法の研究(カラーマネージメントを利用した陶磁器製品の開発)(関戸)
カラーマネージメントを行うためには、安定した印刷が行なえることが前提であり、シルク印刷においては特に重要なこととなる。昨年度は、4色印刷による再現性について基礎試験を行ったが、その再現領域は非常に狭いものであった。本年度は、さらに再現領域を広げるために2次色(RGB)にかわるインクを使用し7色分解による再現性について基礎試験を行った。

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ファインセラミックス部

粘土鉱物の新材料への転換技術開発(勝木)
シリカライト膜の担体としてマレーシアカオリンを1500℃で焼結してハニカムモノリシスを作成した。シリカライト膜を強く固定するため、またシリカ相の除去に伴う機械的強度の低下を少なくするため、モノリシス中のシリカ相の一部をNaOHで溶出してからモノリシス表面に多孔質のムライト層を生成させた。この多孔質ハニカムをコロイダルシリカ、臭化テトラプロピルアンモニウム、NaOHと水の混合溶液中180℃で水熱処理することにより、多孔質のハニカム上にシリカライト膜を生成させた。多孔質ハニカムとテフロン容器上でのシリカライト膜の生成に及ぼす水熱処理時間の影響を検討した。
酸化チタンコーティング剤の改良と環境浄化への応用(一ノ瀬)
水溶性樹脂、ペルオキソチタン酸水溶液およびペルオキソ改質アナターゼゾルを用いた積層膜によって、透明アクリル樹脂板上への常温密着性光触媒コーティングを可能とした。また、シリカを添加したペルオキソチタン酸水溶液を陶磁器上に焼付けることによって、干渉色がなく光沢度変化もない光触媒膜の形成ができた。また、乾燥膜の硬度増加速度は温度や紫外線量に依存することが判明した。
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転写印刷法による集積型センサの製造技術に関する研究(川原)
本年度はNOxセンサのガス感度特性の向上を目指し、センサ基板上に多孔質層、電極層及び感ガス体層を積層させてガスの透過・拡散が良好となる積層構造を有する高感度センサの作製を検討した。センサ素子は転写印刷を用いて1回の焼成によりアルミナ基板の上に56.2%の気孔率を有するアルミナ多孔質層、無鉛フリットを添加した白金電極層及び酸化スズ層をそれぞれ均一に製膜することができた。作製したセンサは例えば88ppmのNO2ガスに対して300℃の雰囲気下で186の高感度を示し、多孔質層を配置しない同センサと比較して約5倍の感度を得ることができた。
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石膏廃材を利用した新規多孔質素材の開発(古田)
石膏廃材から合成した水酸アパタイトを用い、有害重金属イオンのひとつである鉛イオンの除去試験を行った。水酸アパタイト粉末0.1gで、100mlに含まれる200~400ppmの鉛イオン水溶液から、5~30分でほぼ100%の鉛イオンを回収できた。鉛イオンの除去機構は、共存する陰イオン系が塩素イオン、硝酸イオンいずれの場合にもpH4.0のときはイオン交換が支配的であり、pH3.0では溶解再析出によることが明らかになった。鉛イオン除去に要した時間は溶解再析出の方が短かった。水酸アパタイト多孔体を用いた試験では、粉末状のサンプルより鉛イオンの除去に時間を要したが、60分以内で400ppmの鉛イオンを除去できた。また、鉛イオンの除去速度は水酸アパタイト多孔体の気孔特性に影響された。
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化学分析による原料評価の研究(堤)
平成11年度に購入したX線分析装置を活用して化学分析の迅速化に取り組んだ。これまで当センターの蛍光X線分析では主に粘土質系列の試料しか対応していなかったが、アルカリ成分が多い試料、鉄を多く含む試料、マグネシウムを多く含む試料及びジルコニアを含む試料など様々な標準試料を用意して、それぞれに検量線を作製した。それにより湿式分析では1週間以上掛かる試料の分析も蛍光X線分析では数日間で処理できるようになり、品質管理や原料評価に大きく役立てることができる。
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コーティング技術を応用したセラミックス表面の高機能化(桑田)
日本人のライフスタイルの変化により、陶磁器に従来なかったナイフ等の金属摩擦汚れ(メタルマーク)による著しい品質の低下等が報告されるようになってきた。県内で生産されている食器に関しても例外ではなく大きな問題となっている。本研究では、このようなメタルマーク付着問題等をセラミックスのコーティング技術を応用し解決することを目的として新しい機能性を陶磁器製品に付与し産地の特色・雰囲気を壊すことなく付加価値を高める技術の開発・改良を行っている。さらに、他産地の製品と差別化が図れるように特許制度を活用し当県の製品が優位にたつことができるよう業界への技術の普及を行っている。
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